「持ちやすさ」とサイズ間の関係

こんにちは、家づくりコーディーネーターの原山です。
9月に入ってもまだまだ暑い日が続いていますね。
今年はなんだか残暑が厳しいように感じます。

さて、今回はちょっとした豆知識をお話ししますね。

以前ブログで、畳のサイズについてお話ししました。
畳は、地域によって多少違いはあるものの、概ね約90cm×約180cmで
作られていて、人が座って使うスペースは半畳、寝転がると1畳使い、
両手両足を広げて寝転がると2畳つまり1坪のスペースを使います。

このサイズ感は、畳のほかにも「持つ」という場面でも活かされています。
物を持つときに、「腰で持つ」という表現を耳にしたことが
あるのではないでしょうか。
重い荷物を持つときは、腕ではなく腰の力を利用するという意味で、
こうすることで体にかかる負担を軽減することができるのです。

実はこのことが、住まいや道具のサイズにも影響を与えています。
例えば日本で昔から給仕の際に使われてきた、「長手盆」と呼ばれる
大きなお盆や、四隅を切った形になっている「隅切膳」と呼ばれるお膳は、
幅が36cmであり、これは日本人の標準的な腰幅と同じサイズになっています。
旅館の仲居さんが片付ける食器の量は、並大抵ではありません。
これ以上の幅だと、かえって持ちにくくなってしまうのです。
お皿をたくさん乗せたり、重ねて積んだりしても重くないようにする、
まさしく「腰で持つ」工夫です。
20本入りのビールコンテナも、短い側が36cmになっていて、こちら側を
持つと、高さが約30㎝で重さが20kgにもなるコンテナを楽に持ち上げることが
できるのです。

さらに、長手盆や隅切膳を持つときには、お盆やお膳の幅36cmに両手の
厚み約9cmを加えた45cmが必要になるため、これが肩幅とほぼ同じになるのです。
お盆やお膳を持った人が二人すれ違うためには約90cmが必要なので、
これが廊下の幅となり、畳の寸法・サイズの目安となっています。

このような36cmと45cmというサイズ感は、座席の作られ方にも隠れています。
電車の7人掛けシートで、一人でも無作法に座っている人がいたり、
体格の非常に大きな人や外国の方が数名いたりして、全体的に窮屈になって
しまっている、そんな経験をしたことはあるのではないでしょうか。
これは、一人当たりの腰幅=日本人の平均的な腰幅36cmを基準として、
電車のシートが作られているからなのです。
そのため、無作法な人がいたり、平均的な腰幅よりも大きな人がいたりすると、
全体的に窮屈になってしまうのです。

この電車に比べ新幹線の座席は、もう少しリラックスして座れるように
なっています。
これは、2人掛け席や3人掛け席の両端座席を44cm、3人掛け席の中央座席は
両肩がぶつからないように46cmを基準に作られているからなのです。
ちなみに、グリーン車の座席幅は50cmであり、わずか5cm程度座席幅が
広がっただけでも、座りごことが大きく違うことを実感できます。

先に、畳は短い方の幅が約90cmとお伝えしましたが、細かく言えば
中京間は91cm、京間は95.5cm、江戸間は85cmです。
そのため、京間だと楽にすれ違え、江戸間だと窮屈になるのです。

物を持つとき、持って歩くとき、1つの参考としてみてください。