ひとつの部屋で暮らせるワケとは

こんにちは、家づくりコーディーネーターの原山です。

秋の気配が感じられる季節となり、

朝と晩が、ようやく涼しくなってきましたね。

場所によっては、肌寒いと感じる方も

いらっしゃるのではないでしょうか。

私は、「衣替え」をいつにしようかな、、、 なんて考えております。

さて、日本の生活の中では『畳む』ものがたくさんありますよね。


それは、服に限らず

寝具・テーブル・座卓・和服・扇子・傘・風呂敷・提灯

衣桁(いこう)※衣類をかける道具 など、、、

数え上げるとキリがありません。

畳む事の利点は、おおまかに3点あり

・コンパクトになり
・運びやすく
・収納しやすい


この 『畳む』 という特徴をいかして、部屋を有効に使っているのが

日本人の特徴とも言えるそうです。

朝は布団を畳んで押し入れに収納し、

代わりに小さな机をだせば、寝室から食卓へ早変わりし、

机を少しグレードアップさせれば客間となり、

金屏風を置けば、結婚式場になり、、、


押入れ付の部屋ひとつで、充分に暮らせる

昔からの知恵が日本人にはあります。

これに対し、西欧の家具は部屋の機能を固定してしまうので、

ベッドルーム、リビング、、、、

必然的に、部屋数が必要になってきますね。


部屋の機能を家具で固定するのと、

状況に応じて変化させるのと、

どちらが優れているのかは、考え次第だと思います。


大きな家で、部屋数がある家も勿論の事、良いのですが

昔ながらの日本の家の使い方を見直して、

最大限に使える、部屋の使い方を考えるのも

家造りをする仕事に携わる、

私自身の、ひとつの楽しみとも言えます。

ワンルームひとつにしても、

折り畳む家具を使えば、決して狭い空間ではなく

生活をするにあたり、最大限に使える、住まう方だけの

心地良い空間を生み出してくれる事もあるのではないでしょうか。

日本人が考え出したスタイル、『畳む』

小さな事にも意味があるんだと思わせてもらえる

大切なキッカケとなりました。


間取りを作る際には、今の暮らしから考えていくことも必要ですし、

将来的に必要になってくるものも考える事が大切ですね。

今の暮らしの様子と、将来的な望みや希望、快適に暮らせる家造りを

わたくしどもに、是非お聞かせください。

「持ちやすさ」とサイズ間の関係

こんにちは、家づくりコーディーネーターの原山です。
9月に入ってもまだまだ暑い日が続いていますね。
今年はなんだか残暑が厳しいように感じます。

さて、今回はちょっとした豆知識をお話ししますね。

以前ブログで、畳のサイズについてお話ししました。
畳は、地域によって多少違いはあるものの、概ね約90cm×約180cmで
作られていて、人が座って使うスペースは半畳、寝転がると1畳使い、
両手両足を広げて寝転がると2畳つまり1坪のスペースを使います。

このサイズ感は、畳のほかにも「持つ」という場面でも活かされています。
物を持つときに、「腰で持つ」という表現を耳にしたことが
あるのではないでしょうか。
重い荷物を持つときは、腕ではなく腰の力を利用するという意味で、
こうすることで体にかかる負担を軽減することができるのです。

実はこのことが、住まいや道具のサイズにも影響を与えています。
例えば日本で昔から給仕の際に使われてきた、「長手盆」と呼ばれる
大きなお盆や、四隅を切った形になっている「隅切膳」と呼ばれるお膳は、
幅が36cmであり、これは日本人の標準的な腰幅と同じサイズになっています。
旅館の仲居さんが片付ける食器の量は、並大抵ではありません。
これ以上の幅だと、かえって持ちにくくなってしまうのです。
お皿をたくさん乗せたり、重ねて積んだりしても重くないようにする、
まさしく「腰で持つ」工夫です。
20本入りのビールコンテナも、短い側が36cmになっていて、こちら側を
持つと、高さが約30㎝で重さが20kgにもなるコンテナを楽に持ち上げることが
できるのです。

さらに、長手盆や隅切膳を持つときには、お盆やお膳の幅36cmに両手の
厚み約9cmを加えた45cmが必要になるため、これが肩幅とほぼ同じになるのです。
お盆やお膳を持った人が二人すれ違うためには約90cmが必要なので、
これが廊下の幅となり、畳の寸法・サイズの目安となっています。

このような36cmと45cmというサイズ感は、座席の作られ方にも隠れています。
電車の7人掛けシートで、一人でも無作法に座っている人がいたり、
体格の非常に大きな人や外国の方が数名いたりして、全体的に窮屈になって
しまっている、そんな経験をしたことはあるのではないでしょうか。
これは、一人当たりの腰幅=日本人の平均的な腰幅36cmを基準として、
電車のシートが作られているからなのです。
そのため、無作法な人がいたり、平均的な腰幅よりも大きな人がいたりすると、
全体的に窮屈になってしまうのです。

この電車に比べ新幹線の座席は、もう少しリラックスして座れるように
なっています。
これは、2人掛け席や3人掛け席の両端座席を44cm、3人掛け席の中央座席は
両肩がぶつからないように46cmを基準に作られているからなのです。
ちなみに、グリーン車の座席幅は50cmであり、わずか5cm程度座席幅が
広がっただけでも、座りごことが大きく違うことを実感できます。

先に、畳は短い方の幅が約90cmとお伝えしましたが、細かく言えば
中京間は91cm、京間は95.5cm、江戸間は85cmです。
そのため、京間だと楽にすれ違え、江戸間だと窮屈になるのです。

物を持つとき、持って歩くとき、1つの参考としてみてください。